修理前↓ 修理後↓
K様からお預かりした民芸箪笥です。
今回は、なるべ く雰囲気を変えずに直して欲しいとのご依頼です。
お引き取り前の写真です↑
納めたときの写真です↓
お客様の声↓
こちらこそありがとうございました
詳しい制作工程です
修理前の写真と修理後を写真で比べますとあまり変わってい無いように見えますが
今回はあえて変わらない様に修理をしました。
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雰囲気を変えずに修理を行うのは大きく分けて2通りあります。
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1,表面は削らずに汚れをよく落としオイルやウレタンで仕上げる方法
2,表面を完全に削り、修理前の雰囲気に着色してオイルやウレタンで仕上げる方法
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通常は1,の方法を選択します。今回も1,の方法で修理を行う予定で作業を進めて
いたのですが、思った以上に痛みが激しいため途中で2,の方法に切り替えました。
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この箪笥は約70年前から80年前に制作されたものです。
痛みが激しい理由は、複数の素材が使用されていた為だと思います。
引き出しは桐で出来ていますが、本体が桐、杉、ケヤキ、黒柿が使われていました。
おそらくそれぞれの材の収縮率が異なるために歪みが出たのだと思います。
約一世紀前に作られたものです。傷んでいて当然です。
ばらせる所はばらばらにしてから組み直します。
背中の板、引き出しの底板は割れが入っているので
一度ばらしてから、板の状態で直してから組み直します。
クランプでしっかりと固定します
表面材に黒柿が使われています。
黒柿はとてもきれいな模様が入っています。
今では良材はほとんど無く、希少価値があります。
一度剥がしてから、張り直しました。
全て削った状態です いわゆるスッピンです
オイルを塗って仕上げていきます↑
この箪笥は金具がすばらしいものでした
もちろん金具の修理も行います
黒で塗装してしまうのは簡単できれいになりますが
きれいに成り過ぎてしまう為、味が無くなってしまいます。
そこでいかにも錆が出ているように塗装をします。
まずはサンドブラストで古い塗装を全て落とし
特別に作ってもらった錆色の塗料を塗ります。
焼き付け後 黒の塗料を塗って焼き付けます
こんな感じです
黒単色では絶対に出ない色です
完成です
着色後オイルで仕上げてあります。
塗膜感は全くありません、オイルならでの柔らかい光沢があり
しっとりとした木の温かみがあります。
オイル仕上げは、拭き漆仕上げに比較的近いと思います。
漆仕上げは漆を7回位塗ります、工程を重ねるごとに艶と色の深み、透明感が増してきます。
オイル仕上げは、漆を3回位塗った感じです。
アンティークに仕上げるのは本当に難しい
木の種類、木の性質、いろいろな要素を考慮して一番ベストな方法を導き出す
おそらく正解は無いのだろうと思います。
- 仕上げ方法 | オイル仕上げ
- 金具 | 修理
- サイズ | 110x42x105